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なんでAI各社はNVIDIAに任せず、自前のAIチップを作りたがるの?
Google、Amazon、OpenAI、そしてAnthropic。みんな自分たちでAI用のチップを作ろうとしています。
りんご好きringozuki.com最近AIニュースを見ていると、ちょっと不思議なことがあります。
Google。
Amazon。
OpenAI。
そして今度はAnthropic。
みんな自分たちでAI用のチップを作ろうとしています。
でも自分は最初、
「それ、NVIDIAに任せた方がよくない?」
と思いました。
NVIDIAは半導体の専門企業。
しかも現在の生成AIブームを支えているGPUでは圧倒的な存在です。
AI企業はAIモデルを作ることに集中して、計算するためのチップはNVIDIAに作ってもらう。
その方が合理的な気もします。
それなのに、なぜみんな自前チップへ向かっているんでしょうか。
Anthropicも自前チップへ
今回この疑問を持ったきっかけがAnthropicです。
Reutersによると、AnthropicはAIチップスタートアップMatXを約70億ドルで買収する協議を行っていました。
MatXは、GoogleでTPU開発に携わっていた人物らが設立した企業です。
買収交渉そのものは終了し、現在は提携について協議していると報じられています。
さらにAnthropicは、自社のシリコンチームも拡大しています。
Claudeを作る会社が、いよいよチップそのものへ踏み込もうとしているわけです。
でもNVIDIAのGPU、めちゃくちゃ強いよね?
ここがまず疑問。
NVIDIAのGPUは現在、AI学習でも推論でも業界の中心です。
GPUそのものの性能だけではなく、CUDAをはじめとする巨大なソフトウェア環境もあります。
世界中のAI開発者がNVIDIAを前提にソフトウェアを作っている。
だから、
「自分たちで一からチップを作るより、NVIDIAの最新GPUを買えばいいじゃん」
と思ってしまいます。
しかも半導体開発には莫大なお金がかかります。
設計しただけでは終わらない。
製造。
パッケージング。
メモリ。
電力。
冷却。
ソフトウェア。
全部必要です。
AI企業がそこまで自分で抱えるメリットって、本当にあるんでしょうか。
理由その1:とにかくAIを動かす回数が桁違い
普通の会社なら、多少高くても高性能なGPUを買った方が合理的です。
でもOpenAIやAnthropicのような企業は違います。
世界中のユーザーが毎日AIを使う。
質問する。
文章を書く。
コードを書く。
画像を作る。
AIエージェントが仕事をする。
そのたびにデータセンターでは大量の計算が発生します。
つまりAI企業にとって、
「AIを1回動かすコスト」
がものすごく重要になります。
仮に1回あたりの計算コストを少ししか下げられなくても、それを何十億回、何百億回と繰り返せば巨大な差になります。
ここまで規模が大きくなると、
高性能な汎用GPUを購入する
より、
自分たちのAI専用に効率のいいチップを作る
経済合理性が出てきます。
理由その2:自分のAI専用に最適化できる
NVIDIAのGPUはものすごく高性能です。
でも当然、Anthropic専用ではありません。
OpenAI専用でもない。
さまざまなAIモデルや計算処理に対応する必要があります。
一方、自社チップなら、
「Claudeを効率よく動かす」
「自社モデルの推論を高速化する」
という目的へ設計を寄せることができます。
必要な計算だけを高速化する。
不要な機能を減らす。
メモリ構成をモデルに合わせる。
電力効率を上げる。
つまり最高速度だけではなく、
自社AIを大量に動かしたときの効率
を追求できるわけです。
これ、Apple Siliconとちょっと似てない?
ここで思い出したのがAppleです。
昔のMacはIntelのCPUを使っていました。
IntelはCPUの専門企業です。
だったらAppleも、
「CPUはIntelに任せればいい」
とも言えます。
でもAppleは自社でApple Siliconを設計する方向へ進みました。
その結果、
ハードウェア。
macOS。
CPU。
GPU。
Neural Engine。
メモリ。
をまとめて設計できるようになりました。
単純にCPU単体の性能だけを見るのではなく、
Macという製品全体で最適化する
ことができる。
AI企業が自前チップを作ろうとしている理由にも、少し似たものを感じます。
AIモデルとチップを別々に考えるのではなく、
モデル+チップ+データセンターを一体で最適化する。
AIの規模が巨大になるほど、このメリットは大きくなるのかもしれません。
理由その3:NVIDIAに全部依存するのも怖い
もう一つは供給です。
現在、世界中のAI企業がNVIDIAのGPUを欲しがっています。
欲しいからといって、必要なだけ必ず手に入るとは限りません。
しかもAIサービスの成長速度はものすごい。
「来年は計算能力を2倍にしたい」
と思っても、GPUを確保できなければサービスを拡大できません。
自社チップを持つことができれば、
計算能力の供給を自分たちでコントロールできる範囲が増える。
もちろん製造自体は外部企業へ依存します。
それでもNVIDIA一社だけに依存する状態より、選択肢を増やすことができます。
理由その4:電気代もとんでもない
AIチップで重要なのは、速度だけではありません。
電力です。
巨大なAIデータセンターでは、チップが使う電力だけでなく、その熱を冷却するためにも大量のエネルギーが必要になります。
同じAI処理を、
より少ない電力で実行できる
なら、それ自体が巨大な競争力になります。
だから自社AIへ最適化した専用チップには、
性能だけではなく、
性能÷電力÷コスト
という価値があります。
じゃあNVIDIAはいらなくなる?
ここまで読むと、
「じゃあ将来NVIDIAは売れなくなるの?」
と思います。
でも、どうもそんな単純な話ではなさそうです。
Anthropicも、独自シリコンを進めながらNVIDIAやGoogle TPUなどを使い続ける方針とされています。
つまり、
全部自社チップ
ではなく、
仕事によってチップを使い分ける
方向です。
巨大モデルを学習するときはNVIDIA。
特定の推論処理は自社チップ。
別の用途ではGoogle TPU。
そんな形です。
これ、AIモデルそのものと似ています。
何でも最高性能の巨大モデルへ投げるのではなく、
簡単な仕事は小さなモデル。
難しい仕事は巨大モデル。
コーディングは得意なモデル。
というように使い分ける。
チップも同じように、
用途に合わせて最適なものを選ぶ時代
になるのかもしれません。
むしろNVIDIAは「基準」になっていく?
そう考えると、NVIDIAがすぐに弱くなるとも思えません。
最新のAI研究。
巨大モデルの学習。
新しい計算方式。
こうした最先端では、汎用性と巨大なソフトウェア環境を持つNVIDIAの強みが大きい。
一方で、AIサービスが成熟して、
「この処理を毎日100億回やります」
となったところでは専用チップが強くなる。
つまり、
新しいAIを作る場所ではNVIDIA。
大量に同じAIを動かす場所では専用チップ。
という住み分けもあり得ます。
もちろん実際にはもっと複雑でしょうが、自分にはこの構図が一番分かりやすく感じました。
AI競争、モデルだけ見ていても分からなくなってきた
少し前までAIニュースといえば、
「どのモデルが一番賢い?」
が中心でした。
でも今は、
モデル。
GPU。
専用AIチップ。
メモリ。
データセンター。
電力。
ネットワーク。
そして冷却。
全部が競争になっています。
どれだけ賢いAIを作れても、
高すぎて大量に使えないならサービスにならない。
逆に少し性能が低くても、圧倒的に安く大量に動かせるAIが勝つ可能性もあります。
AI競争って、
「一番頭のいいAIを作った会社が勝つ」
という単純な世界ではなくなってきているんですね。
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今回の主な情報源
- Reuters(Investing.com掲載)Anthropic planned, then abandoned $7 billion purchase of MatX, sources say↗
- NVIDIA公式NVIDIA Announces Financial Results for Second Quarter Fiscal 2027↗
※製品仕様・価格は発表時点の情報です。

