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AIがロボットを動かす時代へ。もしかして日本の勝ち筋ってここなんじゃない?
AIがロボットを動かす時代へ。もしかして日本の勝ち筋ってここなんじゃない?
りんご好きringozuki.comAnthropicが、新しい「Model Hardware Standard(MHS)」を発表しました。
名前だけ聞くと、また何か難しいAI規格が出てきたように見えます。
でも中身を見てみると、これがかなり面白い。
ざっくり言えば、
AIが現実世界の機械を動かすための共通規格
です。
対象として想定されているのは、顕微鏡、液体を扱う実験装置、ロボットアーム、製造装置など。
つまりAIがブラウザやPCの中だけで仕事をするのではなく、
現実世界へ出てきて、実際の機械を操作する。
そんな世界がかなり具体的になってきました。
AIが「見る→考える→動かす」
MHSの面白いところは、単にAIから機械へ命令を送るだけではないこと。
Anthropicが想定しているのは、AIエージェントが複数の機器を扱いながら、
実験する
↓
結果を見る
↓
考える
↓
条件を変える
↓
もう一度実験する
というループを回すことです。
将来的には、人間がずっと横についていなくても、AIが実験を進めるような使い方まで想定されています。
これを見て最初に思ったのが、
「ついにAIがパソコンの外へ出てきたな」
でした。
これって「世界モデル」なの?
ここは自分も最初に気になりました。
最近よく聞く「世界モデル」と、今回のMHSは同じものなのか。
これは別物です。
世界モデルは簡単に言えば、
「この物をこう動かしたら、次にどうなるか」
「この空間で自分がこう動いたら、何が起きるか」
といった現実世界の仕組みをAIが理解・予測するための「頭脳」に近いもの。
一方MHSは、
そのAIと現実の機械をつなぐ共通インターフェース
に近いものです。
でも、この2つが組み合わさったら話が面白くなる。
センサーやカメラで見る
↓
世界モデルで理解する
↓
次の行動を考える
↓
MHSのような仕組みで機械を動かす
↓
結果を見る
ここまでつながれば、
AIが現実世界で自律的に仕事をする
ということになります。
そこでふと思った。「これ、日本かなり強くない?」
生成AIのニュースを毎日見ていると、どうしても米国企業ばかり目につきます。
OpenAI。
Google。
Anthropic。
NVIDIA。
Meta。
巨大な基盤AIモデルでは、現在のところ米国勢の存在感が圧倒的です。
中国もものすごい勢いで追っています。
では日本は?
正直、巨大LLMそのものを作る競争だけを見ると、かなり厳しく見えます。
でもAIが現実世界へ出てくるとなると、話が変わるんじゃないか。
そんな気がしました。
日本には「身体」がある
日本には昔から、
産業用ロボット。
工作機械。
精密機器。
センサー。
製造装置。
自動車。
電子部品。
そして何より、
製造現場に蓄積された大量の技能
があります。
これまでの生成AI競争では、巨大なGPUとデータセンターを持つ企業が圧倒的に有利でした。
でもロボットの場合、それだけでは足りません。
AIがどれだけ賢くても、
現実世界で正確に物をつかめない。
ケーブル一本挿せない。
では仕事にならない。
ここに、日本が長年積み上げてきたものが効いてくる可能性があります。
熟練技術者の「頭の中」をAIへ
実は日本では、すでに面白い取り組みが始まっています。
石川県のARUMという企業では、精密部品加工で熟練技術者が行ってきた判断をAIへ取り込む取り組みが行われています。
精密加工では、
どの工具を使うか。
どんな順番で削るか。
どのくらいの速度で加工するか。
材料によってどう変えるか。
といった大量の判断が必要です。
従来は熟練技術者の経験に頼っていた部分です。
ARUMは約5,000種類の工具、100億件を超える加工条件などを体系化し、熟練技術者による大量の検証も加えながら、AIが加工プログラムを自動生成する仕組みを作っています。
政府広報によると、5ミクロンレベルの精度を実現しています。
これ、かなり面白い。
単に、
「人間の仕事をAIに置き換える」
ではなく、
「熟練者が何十年もかけて身につけた技能を、AIが使える形へ変換する」
という話だからです。
そして次は、その技能をロボットへ?
さらにJSTが行っている日本・EUのAIロボティクス共同研究でも、研究テーマ例として、
熟練技術者からの模倣学習を使った航空機組立
が挙げられています。
つまり、
熟練技術者が作業する
↓
AIがその技能を学ぶ
↓
ロボットが学んだ技能を使う
という方向は、すでに現実の研究テーマになっています。
以前、熟練した人の技をAIへ取り込んでロボットへ継承するようなニュースを見た記憶があったのですが、調べてみると、実際にかなり近い研究が進んでいました。
「AIの頭脳」を全部日本で作らなくてもいいんじゃない?
ここで、自分はちょっと考え方が変わりました。
日本がAIで勝つために、
OpenAIより強いLLMを日本だけで作る
必要って、本当にあるのかな?
もちろん国産AIも重要です。
でも世界最高クラスのAIが利用できるなら、そのAIに、
日本が持っている身体と技能を与える。
という戦い方もある。
AIの頭脳
×
日本のロボット
×
日本のセンサー
×
日本の製造装置
×
日本の熟練技能
これ、かなり強い組み合わせなんじゃないかと思うんです。
しかも日本には「必要性」まである
もう一つ大きいのが、人手不足です。
日本では製造業をはじめ、さまざまな現場で人手不足が問題になっています。
熟練技術者も高齢化していく。
つまりAIロボットは、
「あったら面白い未来技術」
ではなく、
「本当に必要になる技術」
でもあります。
日本政府もAIロボティクスの社会実装に向けた取り組みを進めています。
もちろん中国はものすごく速い
とはいえ、のんびりしていられるわけではありません。
中国ではヒューマノイドロボットへ巨大な投資が行われています。
走る。
跳ぶ。
物を運ぶ。
工場で働く。
そしてAIの世界モデルまで作る。
中国はハードウェアとAIの両方を一気に取りに来ています。
だから日本が昔からロボット大国だったからといって、
自動的に勝てるわけではない。
むしろ今がかなり重要な分岐点なのかもしれません。
「日本の熟練技能」がデータになる
自分が一番面白いと思うのはここです。
これまで熟練技能は、
その人が引退したら失われてしまうもの
でもありました。
でもAIとロボットが進化すると、
熟練者の判断。
手の動き。
加工条件。
失敗したときの修正。
音。
振動。
力加減。
そういうものまでデータとして残せるようになる可能性があります。
それをAIが学び、次の世代の人間やロボットが利用する。
そうなったら、
日本が何十年もかけて蓄積してきた「現場の技」が、新しいAI時代の資産になる。
これ、ものすごく面白いと思います。
AIが現実世界へ出てくる時代
ここ数年のAIは、
文章を書く。
画像を作る。
コードを書く。
ブラウザを操作する。
PCを操作する。
という順番で、どんどん人間の作業へ近づいてきました。
そして次はいよいよ、
現実の機械を動かす。
AnthropicのMHSは、そのためのインフラのひとつになろうとしています。
この流れが本当に進むなら、AI競争の主戦場はデータセンターの中だけではなくなります。
工場。
研究所。
病院。
物流。
建設。
農業。
そして家庭。
現実世界そのものがAIの仕事場になる。
そのとき、日本が持っているものの価値は、今とはかなり違って見えるかもしれません。
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今回の主な情報源
- AnthropicModel Hardware Standard research preview↗
- 日本政府 / ARUM事例AI in Manufacturing↗
- 経済産業省ロボット政策 / AIロボティクス関連↗
- JST日欧AIロボティクス共同研究公募資料
※製品仕様・価格は発表時点の情報です。
